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「瑠璃ちゃんさあ、今朝の全校集会、ぜんぜん話聞いてなかっただろ」
その日の昼休み。
【帝国】にて、野愛はつまらなさそうにわたしを問い詰めてくる。
弥生くんは先生に用事があるようで不在だから、いまはわたしと野愛のふたりきり。
「き、聞いてたよ……? あんなことやこんなことでしょ!」
「るーりーちゃん? 嘘つきは泥棒の始まりだけど?」
「……ハイ。ごめんなさい、まったく聞いていませんでした……」
「よろしくないけど、素直でよろしい」
野愛ってば、本当につまらなさそうな表情を浮かべている。
彼は椅子にもたれながら、資料を手に持ち眺めているけれど、何度もため息を吐いていて心配だ。
「……野愛、元気ないの?」
さすがに彼のため息が今で10回を更新した(こっそり数えていた)ので、尋ねてみる。



