ミヨちゃんとヒソヒソ声で喋っている間に、校長先生のお話は終わったらしい。
野愛がまた舞台袖から現れて、無意識のうちに視線で追ってしまう。
「素直じゃない人同士は、手が掛かるなあ……」
「え、なんて言ったの?」
「何も。瑠璃が超超超超超鈍感だなって話」
「ううっ、……ミヨちゃんはわたしに何か恨みでもあるのかい??」
全校生徒の視線を浴びる【皇帝】野愛。
ノア様って呼ばれているのを納得できてしまうほどの、優雅で美麗な人。
……きっといつか彼の弱点を見つけてみせる!
そう心の中で意気込んだけれど、わたしの胸中を読んだかのようにミヨちゃんが薄く笑ったから、ムッとする。
ぷくっと頬を膨らませれば、仕方なさそうに彼女はわたしの頬を突いた。
「あんたって、やっぱ可愛いね」
「んん? さっきからどうしちゃったの、ミヨちゃん」
「誰が何を言おうとノア瑠璃推しだよ、わたしは」
「???」
やっぱり訳のわからないことを言うミヨちゃんに、ずっと疑問が拭えない全校集会だった。



