極上イケメンの上目遣いほど、クラッとくるものはない。
あまりにも色気がありすぎて何も言えないでいたら、野愛はにっこりとわたしから目線をはずして弥生くんの方を見る。
「櫂、俺のオモチャとらないで」
「あーごめんね」
俺のオモチャ = わたし?
わたしはただの暇つぶし。
平安の貴族みたいに優雅な日々を過ごす野愛の、なんとなく手に入れた新しい遊び道具。
……そんなのって、そんなのって、あんまりだ。
「……ねえ野愛、何度も言うけど、わたしはあんたのオモチャじゃないっ!」
バンッと野愛のどでかいデスクに手をついて抗議した。
ムカムカッと怒りが収まらなくて、もうどうしようもない。
もう知らない!、と、出て行こうとしたわたしの腕を、野愛はあいまいに掴む。
引き止める、その意味は。
きっと、都合のいいオモチャを手放したくないだけだ。
「じゃーさ、瑠璃ちゃんはなんでココ来たの?」



