「……別に、会いたいわけじゃ、ないもん」
「強がんなくても良いんじゃない?」
ミヨちゃんってば、小声で揶揄ってくる。
こういうところ、わたしの親友と野愛は、よく似ていると思う。
「ちがうんだよ、ミヨちゃん。夏休み中にお仕事ばっかりで可哀想な野愛のために、ちょっかいかけに行っても良いかな〜〜みたいな感じなの!」
そうだ、それだ!
わたしだって、いつもの仕返しに野愛に意地悪しても良いんじゃない?
そのために、学校に行けば良いんだ!
ナイスアイディアだとひとりで嬉しくなっていたら、ミヨちゃんが呆れたようにわたしを見つめていた。
「…………瑠璃ってさ、」
「うん?」
「可愛いね」
「えっ、ミヨちゃんが優しい! どうしたの?! 明日もしかして地震でも来る?!」
「前言撤回しようか?」
「ごめんなさい、ミヨちゃんはいつだって女神のように神々しくて優しい仏様のようだよ……」
「神仏習合してるよ」
「さすが、わたしの親友は賢いよ……」



