ノア様の愛のいじわる



「……瑠璃、さっきから百面相してるけどどうしたの?」


いまは、集会中。

隣に立っているミヨちゃんが、眉を顰めてこっそり尋ねてくる。


校長先生がなにやらお話しているけれど、こちとら耳を傾けている場合ではない。


「……ねえねえ、ミヨちゃん。わたしたちが夏休み中に学校来ることってほぼないよね?」

「どうしたの、急に。わたしも瑠璃も部活入ってないから、ほぼっていうかまったくないけど」

「うっ、そうだよね……」


ガックリと肩を落とす。

自分でも、なんでこんなに落ち込んでいるのかわからない。


そんなわたしの様子を見て、ずっと不審そうにしているミヨちゃん。

すると突然、なにかを思い付いたように口角を上げた。



「わかった。瑠璃、夏休み中にノア様と会えないのが寂しいんでしょ」

「えっ?! そんなことないよ?!」


ギクリとしちゃって、思わず素っ頓狂な声を上げてしまう。

途端に周りの生徒たちの視線がわたしに一極集中する。



「っちょ、バカ、声大きい……!」

「や、やってしまった……」