「わたしは……誰にも意地悪されたくないもん」
なんだか悔しくて、そんなことしか口にできない。
わたしが何を言っても野愛はいつもそれ以上で返してくるせいで、戦っているわけではないのに、いつも空振りで終わったような気持ちになる。
野愛に心を乱されるのは、癪だ。
わたしのせいで、野愛だってたくさん困ったらいいのに。
「瑠璃ちゃんが何と言おうと、俺以外に意地悪なんかさせねえよ?」
「……絶対君主だ」
「まず、瑠璃ちゃんを泣かすやつがいたとしたら気分悪すぎて退学させちゃうかもだし」
「こ、【皇帝】の権力恐るべし……」
「まあ、さ。俺に泣かされるのは、悪くなさそうだけどね」



