「まあ、湯淺が戻ってきたところで、なんだかんだ大変なことになりそうだけど……」
「え? どういうこと?」
「いやあ……、うん。なんでもないよ」
にこっと微笑む弥生くんに、首を傾げる。
含みのある言い方だなあ……と少し気になったけれど、追及されたくなさそうな空気を察して黙っていることにした。
「てかさ、瑠璃ちゃんが【妃】になってくれたら早い話なんだけど?」
わたしと弥生くんの会話をしっかり聞いていたらしく、そう不満げに野愛が呟く。
【妃】、という単語を聞くと少しだけ動揺してしまう。
野愛に【妃】になってほしいと言われたのは数ヶ月前の出来事だったから、彼も自然消滅でもう忘れていると思ったのに。
「……ううっ、わたしには【妃】なんて無理だって言ったはずだよ」
「なんで? 瑠璃ちゃんかなり成績いいだろ。いつも順位一桁じゃん」
「わたしは野愛みたいに全部が出来るわけじゃないもん。運動はすごく苦手だし、バスケだって……」



