ノア様の愛のいじわる



ほんの少しだけドキッとしてしまったのは、気づかないふりをする。

ちがう、野愛なんかにときめくはずがない。


さっきまでの落ち込んでいた気持ちが浮上したなんて、言えるはずない。


「あれ、瑠璃ちゃん照れてる? 顔赤いよ」

「ちがうからっ! これは野愛に怒りすぎて、顔から火が出そうなのっ」

「ふーん。あーあ、これで櫂さえいなければ完璧だったのに」


そう言いながら、野愛はちらっと弥生くんを見た。

弥生くんは野愛がやらないせいで仕事に追われているというのに、なんてことを言うんだろう。


「野愛も仕事しなよ! 弥生くんがかわりに頑張ってるのに、野愛は何してるの?!」


「え、俺は瑠璃ちゃんをいじめるためにここにいるけど」


「な、なに言ってるの……?!」