くすくす笑いながら、わたしの髪をわしゃわしゃと乱していく。
「カワイイねえ、るーりーちゃん」
「〜〜っぐ、バカにしてるでしょ! ひどいよ野愛!!」
小学生みたいな扱いに、胃の奥がムカムカする。
でもどうしてか、髪をかき乱されたことには少しだけしかイラつかない。
こんなの慣れていないのに、触れられたことに意識してしまっている。
野愛だからじゃない。
野愛が、男の子だからだ。
勝手に意識している自分が恥ずかしくて、頬が熱くなるのがわかった。
「そういえば今日は呼んでないのに、【帝国】に来てくれたんだ?」
野愛にそう言われ、ハッとする。
たしかに、昼休みなのに、めずらしくラインで【帝国】に来いとは言わなかった。
ムカムカしすぎて自らここに乗り込んでしまったことに気づいて、美麗な彼をにらむ。



