ノア様の愛のいじわる



「ううっ……、ありがとう弥生くん。あったかい紅茶に癒されるよ」

「いいえ。そろそろノアが来る頃だと思うんだけど」


「……もう、来なくていいよ。わたし、野愛のせいで傷ついたんだから」

まあまあ、と弥生くんにおだてられていたら、なんだか自分が惨めに思えてきた。

それもこれも野愛のせいだ……と、またもや怒りが再来する。

……と、ついに【帝国】の重いドアが開いて【皇帝】がやってきた。



「あ、瑠璃ちゃん来てるじゃん」



呑気な声が聞こえてきて、ぐるっと振り返る。

……もうっ、なんで体育終わりなのに今日もそんなに美しいわけ?!

わたしは前髪がぐちゃぐちゃになったというのに〜〜っ!


「野愛のばか! おたんこなす! 大っ嫌い!」


突然そんな言葉を投げつけるわたしに構わず、野愛はにこにこと微笑んでいる。


「小学生並みの悪口じゃん」