弥生くんが、仲介役に入ってくれることはなくて。
たまに『まあまあ、ノアもそのへんにしとけ。な?』みたいに緩く言ってくれることもあるけれど、鬼畜な野愛にはそんなもの通用しないし。
弥生くんも野愛に負けないくらいの美しいお顔を武器に、優しい笑顔でわたしの心を射止めてしまう。
「ごめんねー、うちの【皇帝】は花氷さんが大好きだから」
わたしの恨みの目も軽く躱す弥生くん。
爽やかで優しくて礼儀正しくて、仕事だって完璧にこなす。
野愛よりも、よっぽど【皇帝】に向いていると思う。
だけど、うちの【皇帝】は野愛じゃないとダメなのだ。



