今日もかなりの黄色い声が響いていたから、野愛は大活躍だったんだろう。
自分のプレーに精いっぱいで、さらに女の子の壁に埋もれていただろうし、わたしのことなんか見ているはずもないのに。
きっと、野愛はわたしの突き指も空振りもパスのミスもぜんぶ見ていて……笑っていたんだろう。
そう考えたらすっごくムカついて、さきほどまでの元気のなさはどこかに行ったのだ。
『野愛を見返してくる!』
そうミヨちゃんに宣言して、その足で【帝国】にやってきたのだ。
それなのに今日に限って、まだ【帝国】には【皇帝】が不在で。
怒りがおさまらないまま、弥生くんに紅茶を出してもらっている……という謎の状況にいま、陥っているのだ。



