ノア様の愛のいじわる



わたしがこんなにも野愛に対して憤慨しているのには、もちろん理由がある。

それは、彼がさきほど送ってきたラインが関係するのだ。


「『さっきの体育のバスケ、下手くそだったな瑠璃ちゃん?』ってなに?! 別にラインで言うほどのことでもないのに!」


野愛という名の悪魔は、4限目にあった体育のバレーを見ていたのだろう、わざわざそんな文面を送りつけてきたのだ。

うちのクラスと野愛のクラスは合同で体育をやっている。

いまは女子が体育館の半面でバスケ、男子はもう半面でバレーを練習しているんだけど。


……いや、たしかに、わたしのバスケは驚くほどに下手だった。

というか、運動が超絶苦手なわたしは、バスケじゃなくても出来ないんだけれど。


今日の授業では、突き指するし、ボールのパスを失敗するし、軽くコケかけるし……とにかく悲惨だったのだ。

もっぱらチームに迷惑かけていたし、その自覚はあった。