「〜〜っ野愛が追いかけてきたから! 仕方なし、なんだから!」
「ハイハイ、そうだね。お言葉に甘えていっしょに帰ってもらうわ」
「車で帰ればいいのに、わざわざ電車で帰ろうとする野愛が悪いんだもん!!」
「そーそー。俺が悪いね、瑠璃ちゃん悪くないよな」
「〜〜っ、既読スルーしたわたしも悪かった!ごめんね」
「別にいいよ。おかげでいっしょに帰ってるんだし」
そう言いながら、野愛はわたしの歩幅に合わせて歩いてくれる。
実は、気づかないうちに車道側を歩いてくれていたりもする。
そういうところ、ズルい。
なんでも完璧にこなすし、なによりスマートだ。
結局わたしは野愛を憎めない。
わたしより頭二つ分ほど背の高い彼を見上げる。



