ノア様の愛のいじわる



いつもそうやってわたしをバカにするんだから!

野愛は、なんでわたしだけに意地悪するの?

聞いたところで、答えは決まってる。


『からかい甲斐があるから』って、そう言うに決まってるんだ。


とってもムカつく。だけど。


わざわざわたしを追いかけてきた野愛のことを考えたら、いつまでも怒っていられない。


意地張って野愛を置いて帰ることもできるけれど、そんなの一日の終わりにふさわしくないし。

さっき辺りを見渡したら、同じ学校の生徒は見当たらなかったし。



ほんとに、ほんとに、仕方なしなんだから。




「電車乗るまで、……いっしょに帰っても、いいよ!」


ふんっとそっぽを向いて言う。

自分でもなんて可愛くない女なんだと思う。


そんなわたしの言葉に、野愛は少し沈黙したあと、途端にぷっと吹き出した。


「やっぱ、瑠璃ちゃん最高だわ」