「そんなに怒ってると眉間のしわ増えるよ」
怒らせてるひとが、さらに言うセリフじゃないし。
野愛はわたしのことをからかってばかりで、いつだって勝てた試しがない。
「〜〜っだれのせいだと思って……」
「ん? あ、俺のせい?」
「わかってるならとぼけないでよ……!」
クスクス肩を揺らす野愛。
その姿すらも美麗で、ぷんすか怒ってるこっちがアホらしくなってくる。
どれだけわたしが嫌がっても、反抗しても、野愛には逆らえない。
もうこのひとの相手はできないと思って、【皇帝補佐】の弥生櫂くんに助けを求めることにする。
弥生くんは、野愛が面倒くさがってやらない仕事をテキパキこなしている。
そういう頼もしいところはすごいなって思うんだけど。
「弥生くんーーっ、いつも見てるなら助けてよ……」



