ノア様の愛のいじわる



そのまま早歩きで学校から出ようとした、そのときだ。


スカートのポケットに入れていたスマホが、ピロンっと通知を知らせた。


…………すごーーく嫌な予感がするのは、わたしだけじゃない、はずだ。


おそるおそる、スマホを取り出して通知を見る。

案の定、送ってきたのは美麗な彼だった。



『瑠璃ちゃん逃げてんのバレバレ』


野愛らしい簡素な文。

だけど語尾に(笑)でもつきそうなメッセージに、ムカムカっと苛立つ。


振り向いて、あっかんべーでもしてあげようかと思う。

だけどそんなことしたら、きっと野愛はあとでバカにしてくるだろう。

そうなったら、どうせバレたんだし、気にせずさっさとひとりで帰ってしまおうと思い立った。