「え、急になに?」
訝しげに尋ねてくるミヨちゃんに、なんでもないとでも言うように首を横に振る。
さきほどの野愛の言葉を思い返して、だんだんイライラしてきた。
いつも、野愛に狂わされてばかりだ。
頭の中だって、いつも、野愛だらけだ。
こんなふうにさせるなんて、きっと野愛には毒があると思う。
中毒性が高くて離れられない。引力みたいなものだってある。
【皇帝】なんてばからしいとは思いつつも、野愛はやはり絶対君主なのだと思い知る。
それにわたしが服従するとは、……限らないけれど。
「よし、ミヨちゃん!わたし強い女になるよ!」
「うん、また急にどうしたの」
「毒にも負けない女になるの!」
「さすがに修行が大変そうだけど頑張って」
「辛いから棒読みやめて……?!」
辛辣な親友に涙しながらも、強く誓う。
野愛の思い通りには、わたしは絶対ならないって。



