───『俺の【妃】になってよ』
どうして、あんなことになってしまったんだろうか……。
さっきもなんだかんだ、強引な野愛から逃げたくて全速力で走ったために、疲労感が半端じゃない。
はああ……っと長めのため息をついて机に突っ伏していると、誰かがわたしの頭をコツンとした。
驚いて顔を上げると、そこには親友の藤宮三好ことミヨちゃんが立っていた。
「おかえり、瑠璃。またノア様に呼び出されてたの?」
今日も今日とて美しい親友の顔を見ると安心し、すぐに泣きつく。
「ミヨちゃん〜〜っ、野愛って悪魔だと思わない? 愛しのミヨちゃんとの休み時間を潰してくるんだよ?」
「でもあんなに毎日走ってたら痩せそうだけど。いいダイエットじゃん」
「ミヨちゃん辛辣だね……??」
相変わらず少し(?)ツンデレなミヨちゃんに励まされる。
唇を尖らせて拗ねるわたしに、センターに分けた前髪をかきあげながら、彼女は首を傾げた。
「それで、瑠璃は【妃】になることにしたの?」