ノア様の愛のいじわる


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SIDE 櫂


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「……ね、どー思う?」




【帝国】と呼ばれる一室で、ノアは花氷さんが出て行った扉の方向を見つめながら尋ねてきた。




「どう思うって?」


「や、だから、瑠璃ちゃんのこと」




たったいま、ノアに怒って出て行った女の子。

花氷瑠璃ちゃん。




「ん? まあ、ノアのお気に入りなの納得いくくらいに可愛いとは思うけど」


「は、可愛い?」




途端に眉根を寄せて俺に視線を寄越してきたノア。



花氷さんのことになると、ただの過保護。

どうやら、ノア的に可愛いは禁句だったようで、口を閉ざす。


やっべえ、ノア、怒らせたらめんどいんだよ。




「あー、可愛いっていうのは、一般的に見てだって」