視界に、火花が散る。

「!! そうなんだよ!」


まってましたと言わんばかりに笑顔で対応する迅。

声がうるさい。

俺と唯の間から前のめりに話してくる迅に若干引いている俺と唯。

プラス一年。

一年は何この人……という顔をしている。


「えっと……なにか……?」

「このクラスに城崎(きさき)さんっている?」


きさき?

城崎か?

久しぶりに聞いた名前に、それでも聞き慣れた名前に、俺はあの子を思い出す。

でもすぐに頭から追い出した。


「城崎さん、ですか?」


そう言った1年は教室を見渡す。


「すみません、今城崎さん居ないみたいです」

「え〜そうなの?」

「迅くんだるっ」


脱力した迅に唯が思わず声を出した。


「いないなら早く戻ろ」

「そうだよ! 夏月くんの言う通り! 早く戻ってお昼食べようよ〜」

「え〜まだ待ってようぜ! 戻ってくるだろ!」

「迅くんだるいって……出待ちとか趣味悪」


唯は明らかに嫌な顔をする。

まあ俺も若干嫌って顔をしていると思う。

迅の執念には引く。

普通に引く。