視界に、火花が散る。

「ちょ、待ってよ紗耶(さや)ちゃん!」


……っえ?

ふと後ろから聞こえてきた声で俺は固まった。

同じ?

違うだろ。

あの子な、訳が……。

聞き覚えのある声で唐突に頭が馬鹿になる。

でも、確かめたくて後ろを振り返る。


「え〜?」

「えーじゃなくてっほんと待っ──」

(れい)

「っえ?」


何年経っても変わらない肩ぐらいの綺麗な黒髪。

そして、見覚えのある顔がそこにはあった。