はあ、はあと互いの熱い吐息が室内に響き渡る。琉斗から解放され、深く息を吐く。これで、本当に番になってしまったんだ。背後から抱きしめる琉斗は、一葉の肩口に顔を埋めた。
「これで、一葉は僕の一葉だ……」
 喜びを噛み締める琉斗に、一葉は顔が見たいと思った。そっと琉斗の腕を解き、くるりと向き直る。
「先輩、今更ですけど……本当に私でいいんですか?」
 そう言いだす一葉に、琉斗はキョトンとした表情を浮かべ、すぐに不貞腐れたように眉間に皺を寄せた。
「一葉、さっきも言ったぞ。一葉だからいいんだって。忘れたとは言わせないからな」
「それは、わかってますけど……きゃっ」
 もじもじしていた一葉に、琉斗は再び馬乗りになった。首筋に舌を這わせ、項の辺りを舐められる。
「や、もぉ……っ」
「ヒートだったんだな。ごめん、そんな日に学校に行かせて」
 耳元で囁かれる声が、腰にきてしまう。愛液が再びとろりと溢れ出した。
「大丈夫ですよ。それに、ヒートでも治めてくれる人が目の前にいますから」
 ね? と微笑みかけると、琉斗は目を瞬かせ、すぐに微笑んだ。手を琉斗に向けて伸ばすと、琉斗はその手をしっかりと握ってくれた。ヒートは辛いが、目の前に治めてくれる最愛の番が居る。それが何より、嬉しいことだ。
「先輩、もっと、抱いてください……」
 疼く体をどうにかして、と囁けば、それに応じようと抱き締めてくれた。まだヒートは始まったばかり。少ししたら家族に連絡しなきゃと思いながらも、今は目の前の最愛の存在に夢中になろうと背に腕を回した。