出窓を開けて無言で手を差し出すと、松田さんが手を伸ばしてきたから、その手を取って引き上げた。
松田さんからローファーとリュックを受け取って窓側に置き、出窓の鍵を締めた。
薄手のカーテンを閉めると、振り向いて松田さんに向き直る。
じっと見つめると、松田さんが不安気な表情で俺との距離を取ってきた。
俺が近づいた分、距離を取られる。
――ここまで来て、逃がすかよ。
狭い室内。
すぐに松田さんの足が椅子にぶつかった。
俺は机に手をついて松田さんが逃げられないように距離を詰める。
「今日、なんで来てくれたの?」
松田さんの顔のすぐ横で、囁くようにして聞いてみる。
「…来てって言われたから。」
「別に、来たくないなら断っていいんだけど?」
「断る理由、なかったから。」
――だからって、男と狭い部屋で2人きりになるなんて、警戒心なさすぎだろ。
昨日、好意を伝えたばかりなのに、部屋に来てくれたのだから、
それなりの覚悟を持って、来てくれていると思いたい。
添い寝仲間だから、なんて理由は通じない。
すぐにでも押し倒したい気分だ。



