素直になりなよ。


教室に着き、森元さんが中野と楽しそうに話しながら扉を開けた。

それに続いて、俺も中に入る。


ふと、視線を感じて見てみると、松田さんと目が合った。


その瞬間、フイッと目を逸らされる。


またムッとして、その勢いのまま自分の席まで足早に向かうと、トントン、と松田さんの肩を叩いて振り向かせた。


振り向こうとした松田さんの顔の横に俺の顔を寄せる。


『今日きて。俺の部屋。』


「なん…」


なんで?って聞こうとした松田さんを、至近距離で見つめる。


…なぜか、松田さんの目が赤かった。


どうしたんだろう、と思っていると、頷いた後、そのまま目を逸らされた。


松田さんから離れ、荷物をおろして椅子に座る。


どう思って頷いたか、松田さんの表情からは読み取れなかった。


もしかしたら、これが最後になるかもしれない、という不安と、


もしかしたら上手くいって、松田さんを抱きしめられるかもしれない、という期待と、


どっちの感情も入り混ざって複雑な気分になる。


でも。

――また放課後、2人きりで会える。


それだけで、俺の口元が緩んで、慌てて口元を手で隠した。

その日は1日中ずっと、松田さんに何と言って好意を伝えようかと考えながら過ごした。