部室のある建屋に向かい、中に入ろうとしたところで「五十嵐くん!」と声をかけられる。
振り向くと、この前俺に話しかけてきた5組の井上さんが立っていた。
「ちょっと、話したいことあって。時間もらえる?」
「話したいこと?何?」
「ここじゃちょっと…」と言われ、察しがついた。
「…いいよ、どこ行く?」
と言うと、井上さんは嬉しそうに「こっち」と言ってすぐ近くの、駐輪場の隅へ向かった。
ここでいい、と思ったのか、駐輪場の誰も通らない場所までくると井上さんはこっちを向くなり上目遣いで俺を見てきた。
「で、話って何?」と急かす。
井上さんは顔を赤くしながら「私、ずっと前から五十嵐くんのことが気になってて…。好きです。付き合ってください。」と言って、俺をまた上目遣いで見つめてきた。
――またこれか。



