次の日。
今日もいつも通り、朝練がある。
でも、今日も寮の飯が全然喉を通らない。
「おばちゃん、ごめん。今日、食欲ない。」
「あら、珍しい。体調悪いの?」
「いや、大丈夫だよ。俺、朝練行ってくる。」
「あ、五十嵐くん!バナナ1本あるわよ。ちょっとくらい食べたら?運動前には何か食べとかないと。」
そう言われて、松田さんとの会話を思い出した。
更に食欲が落ちる。
「…ごめん、おばちゃん。今日はいらない。」
そう言って部屋に戻ると、朝練の準備をして部屋を出た。
寝不足だし、晩飯も、朝飯も食べてないし。
当然、朝練で調子も上がらない。
そんな俺を見かねたコーチが、練習中に俺を呼んだ。
「大丈夫か、翔?最近寝不足気味だって中野から聞いたぞ。顔色もよくない。今日は上がれ。」
「でも、インターハイ前ですし、せめて見学だけでも…」
「いい心掛けだけど、今日はやめとけ。いつも翔が一生懸命やってるのは分かってるから、たまには休め。」
「…はい。」
そう言って立ち上がるとコーチがポンポンと労るようにして背中を叩いて言った。
「俺に推薦されて入ったからって、あんまり気負うなよ。サッカーはチームプレーなんだから、もっと周りにも頼れ。」
「…ありがとうございます。」
コーチの言葉だけでも、心が少し軽くなった自分がいた。



