素直になりなよ。


駅へ向かう間も、サッカー部の裏話をしたりして、松田さんの笑いを誘った。


たまにしか見れていなかった笑い顔を、こうやってずっと見ていられるということがすごく幸せに思えた。


駅に着き、電車に乗り込むと、松田さんが人波に押されて1人だけ奥へ進んでいった。


「すみません。」と声を掛けて、周りの人に頭を下げながら松田さんの方に近づく。


ドアの近くにちょうど松田さんが入れそうなスペースを見つけて「そっちに寄って。」と声を掛ける。

部活バックとリュックが人に当たらないよう、肩からおろして、荷物棚に乗せた。

正面に立っている松田さんの体にちょっと触れてしまい「ごめん。当たった?」と聞くと、俺の方も見ずに「う、ううん。大丈夫。」と返された。


挙句、松田さんは背負っているリュックを体の前に移動させ、俺との距離がリュック分、離れた。


ムッとして、思わず文句を言う。


「…そのリュック邪魔。」


「え!?そう?後ろに背負ってる方が場所取るかなと思って…」


そう言って、俺のことをやっと見上げた松田さんに顔を寄せ、耳元で囁く。