素直になりなよ。


放課後。

松田さんから、部屋に来ることを断られた俺は、仕方なく帰る準備を進めていた。

すると。


「紗英ー」


森元さんが松田さんに駆け寄ってきて声を掛けた。


気になって耳を傾ける。


「ね、今日約束してたクレープ屋さんだけど…中野くんも一緒に行ってもいいかな…?あ!奢りは無しで大丈夫だから。」


…あ、森元さんと約束してたのか。


避けられていたワケではないことに気づき、内心、ホッとする。


クレープか…。


ちらっと中野を見ると、急に自分が合流することになって申し訳ない、と言いたげな表情をしていた。



…チャンス。



「私は今度でいいから、2人で――」


「それ、俺も行っていい?」


松田さんの言葉を遮るようにして声を掛けた。


「え?」


振り向いた松田さんはびっくりしているが、中野はホッとした表情になった。


「おー!行く?五十嵐、甘いの大丈夫だっけ?」


「…まぁ、そこそこ。」


本当は甘いものは苦手だけど、参加するからには嘘をつくしかない。