――顔こっち向けろよ。
俺への挨拶もそこそこに、また中野達へ視線を戻したことにムカムカした。
背負っていたリュックと部活の大きなバッグを机の上におろすと、そのバッグの後ろから手を伸ばして、松田さんの肩を叩く。
窓際と、俺のバッグの間で、松田さんと視線を交わした。
『今日、頭痛は?』
『さっき休んでたから大丈夫。』
『そっ…か。』
…せめて今日だけは、朝練をサボってでも保健室行くべきだった。
どうしても2人きりで話して松田さんの気持ちを確認したい。
『今日、また放課後来てよ。』
『来てって…。ごめん、今日用事が…』
珍しく断られた。
本当に用事あるのか?
もしかして昨日のことがあって警戒されてない?
ここまで来たら次に打つ手が思いつかない。
『あっ…そ。』とだけ言って、リュックの中身を取り出して授業の準備を始めるしかなかった。
ちょうど先生も教室に入ってきて、いつものように、朝礼から始まる。
「今週末から夏休みだな。夏休み期間中の課題がそろそろ出てる頃だが…」
先生がそんな話をしてるのを聞きながら、俺は夏休み以降、松田さんとの関係が続かなくなってしまうかもしれないことに不安を覚えていた。



