――帰宅中で、スマホを見れていないのかもしれないな。
今日はどうやって帰ってるんだ?
自転車?
それともバス?
バスに乗ってるのなら、メッセージに気付いてるはずだよな?
無駄な思考をぐるぐると巡らせながらスマホを、机の上に置いた。
ほんの数分も待ちきれない気分だった。
何分待ったか分からないが、ベッドに横になって目を閉じていたらスマホが振動した音が聞こえた。急いで起き上がり、トーク画面を開く。
松田さんからだ。
『気持ちよさそうに寝てたし、起こさなくてもいいかなって思って。』
――起こしてよ。朝、保健室で過ごしてた時みたいに、優しく揺り起こして欲しかったのに。
『松田さんに起こして欲しかった』
文面で伝えられる精一杯の好意を込めたつもりだった。
眠っている間も、起きた時も、ずっと一緒にいて欲しかった。
そんな気持ちを込めたのに。
『そっか。ごめんね。』
それだけのメッセージが返されてきて、絶望した。
――次は起こすね、とか言ってよ。
もうこれで終わり、みたいな言い方。
全然次に繋がらない。
部屋に来てくれたから、
2人きりの部屋の中でも嫌がらずにそばにいてくれたから、
松田さんも自分と同じ気持ちだと思っていた。
でもやっぱり、違ったのかもしれない。
眠りについた時の幸せな気持ちがちっとも思い出せない。
俺はもうすっかり暗くなった部屋の中で、片想いの苦しみを、初めて味わった。



