素直になりなよ。


どのくらい寝ていたのだろう。


ふと、肌寒さを感じて目を開いた。


電気をつけていなかった部屋の中は薄暗い。

肌寒さの原因は効きすぎたエアコン。


さっきまで、あんなに温かかったのに…


――あれ?松田さんは?


さっきまで腕の中にいたはずの、俺の好きな人。


慌てて起き上がって窓際を見ると、置いておいたはずの松田さんのローファーとリュックがなくなっていた。


――…は?帰った?


今日こそ伝えたいと思った気持ちを、伝えられなかった。


眠気に負けてしまった自分に腹が立つ。


――せめて起こしてくれればよかったのに。


ごめんね、のメモでもあればいいと思って見回したけど、何もない。


――なんでだよ。なんで黙って帰るんだ?


全然上手くいかない。


松田さんの気持ちが分からない。


ベッドから出て、カバンからスマホを取り出し、クラスのグループラインを開いた。


メンバーリストから『松田紗英』の文字を見つけてトーク画面に移る。


『なんで何も言わずに帰ったの?』


ムカムカしながら、メッセージを打ち込んで送信ボタンを押した。


しばらく待ったけど、既読にならない。


今まで付き合った彼女であれば、すぐに既読がついてメッセージが返ってきていたのに、松田さんへ送ったメッセージにはいつまで経っても既読がつかない。