とんだタイムロス。
名前を呼ばれて何も考えずに教室に入った自分を恨みたくなった。
――これで松田さんが待ってくれてなかったら、マジでショックだな…。立ち直れないかも。
できるだけ急いで駐輪場に向かった。
奥に進んで行くと、松田さんの姿を見つけてホッとする。
――よかった。待っててくれた。
それだけで自分のテンションが上がっていくのを感じた。
駐輪場の裏側を覗いている松田さんに後ろから声を掛けた。
『松田さん』
振り向いた松田さんの顔を見て嬉しくなり、思わず顔が緩む。
『五十嵐くん、なんでこんなトコ…』
『しーっ。いいから、ついてきて。』
そう言って松田さんの手を取ると、駐輪場の壁と植木の間の隙間を歩いていく。
自分より圧倒的に小さな松田さんの手を握りながら期待する気持ちがどんどん高まる。



