『やだ。まだ寝る。』なんて子どもみたいなことを言ってみた後に、松田さんを抱きしめたくなって、腰に手を当てて、引き寄せた。
「ひゃっ」
そう言って慌てて口を塞ぐ松田さんが可愛い。
俺は目を瞑ってスヤスヤと眠ったふりをしながら、松田さんの腰のあたりに顔を寄せた。
その瞬間。
『五十嵐くん!もう起きてよっ』
思い切り肩を叩かれ、やりすぎた、と反省する。
何食わぬ顔で『はよ。松田さん』と言ってみたものの…
『わ、私、先に教室行くねっ!』
と言いながら顔を真っ赤にした松田さんは、慌ててベッドを下りてカーテンの向こうへ消えていった。
――可愛すぎかって。
どれもこれも、松田さんの反応が新鮮すぎて困る。
こんな時間が毎朝あったら、なんて思う自分がいた。
――朝練、中止になってよかった。
俺は初めて、サッカー以外の楽しみを見つけた。



