次の日。
朝練をしていたら急に土砂降りの雨が降ってきた。
「練習中止ーー!」
コーチとキャプテンの掛け声に無言で同意したメンバーが、バシャバシャと音を立てながら、急いで部室のある建屋内に入っていく。
そのメンバーについていくようにして走っていると、ふと傘を差して登校してる生徒が目に止まった。
――まだ7時半前なのに、登校するの早くないか?
そう思った瞬間、傘を差しているのが松田さんということに気づく。
気付いたらもう松田さんに駆け寄っていた。
既に雨でずぶぬれなのに、慌てて傘の中に入れてくれる松田さんの優しさにまたヤラれた。
「松田さん、おはよっ」
「おはよ。雨の中、練習お疲れさま。」
――お疲れさま、とか言ってくれるんだな。
松田さんのたった一言に、テンションが上がった。



