――あんなに気分悪かったのに、松田さんの横で寝ただけで体調良くなってる…。すげーな。
多少まだ眠気はあるが、体調はだいぶいい。机に顔を伏せて、さっきの状況をまた思い出しながら浸っていると、前の席の椅子がガタンと動いた。
松田さんが戻ってきたみたいだ。
思わずトントンと肩を叩いて振り向かせた。
『治った?』
『うん、治ったよ。ありがと。』
小さな声で尋ねると、松田さんも小さな声で答えた。
ホッとして『よかった』と言うと、松田さんが口角を上げて笑った。
心臓が跳ね上がる。思わず目を逸らした。
顔が赤くなるのを感じながら、自覚した。
松田さんが好きだってことを。
だって既に、さっきみたいなシチュエーションにまたならないかなって、期待してる。
あんなに落ち着いた気分になったのは、いつぶりだろう。
それに、松田さんのあの反応。
表情からして、嫌がってはなさそうだ。
――完全にハマったな、俺。
前に向き直った松田さんの香りにまた酔いながら、俺はしばらくの間、赤くなった顔を隠し続けた。



