何日か過ごしているうちに、松田さん効果の凄さに気付かされた。
調子が上がらない日が多くなって、授業をサボって保健室で休みがちになり、自分でも、いよいよマズいな、と思っていた頃だったが、
朝から松田さんの香りを嗅いで、午前中に少し居眠りできた日は部活でも調子が良く、松田さんと話す機会がなくてあまり香らなかった日は調子が上がらなかった。
しかも、頭痛で顔をしかめている印象が強い松田さんが、たまにこっちを見て口角を上げて笑いかけてくれる度に、自分の心臓が妙に早く動くことにも気付いた。
自分でもびっくりするくらい、分かりやすい。
――振り向いてくれねーかなーって思う俺、松田さんにハマってない?
この頃から、俺は松田さんを意識し始めた。
自分から女子を意識するようになったのは初めてだった。



