カレシの塁くんはあたしの唇を求めてない




「はあ!?」


関係ない塁くんになんでそこまで言われなきゃいけないの!?とでも言いたそうな八枝さん。そんな八枝さんに塁くんは真剣な表情を向ける。


「八枝、兼元にちゃんと謝って」


「でも、さっきの『ごめん』は、私に言ってたわけじゃないでしょ」


「オレには兼元は八枝に『ごめん』って謝ってたようにみえたよ」


塁くんの言葉に八枝さんはしぶしぶといった表情で折れた。


「…………兼元さん、ごめん。掃除の件は、兼元さんが引き受けてくれるからつい甘えてた」


「う、うん」


「気をつけるから。けど、兼元さんさ、少し顔が良いからって墨くんにまで庇ってもらっちゃってズルいよねー? 他の女子が知ったら良い気しないんじゃない?」


これは多分、「塁くんと関わるな」と言っているように思える。


普段、塁くんと全然喋れていない。だから夜の電話だけで我慢してたのに。


塁くんのことを話題に出す八枝さんが、悪魔に見えてしょうがない。