カレシの塁くんはあたしの唇を求めてない





「魔法の言葉」


なにかあるだろうか。


唇が柔らかかった、とか? いや、違う。絶対違う。


あたしが今塁くんに言わなきゃいけないことは………



「塁くん、あたし、いつでも塁くんの唇求めてるよ!」


これからも塁くんとキスしたいということだ。


怒り狂っていた塁くんだったけれど、みるみる顔が赤くなりあたしの方へ振り返るなり、強く抱きしめてくれた。



「オレの方がしーちゃんの唇求めてる」


そんなあたし達を見ていた八枝さんは、すかさず「推しが推しとー!!」と悲鳴を上げながらシャッターを切った。


…………うん、やっぱりムードは大切だ。



END