カレシの塁くんはあたしの唇を求めてない




さっきの鳩田くんに対してもそうだけど、あたしの知らない塁くんがまだまだいるんだなあと実感した。


「どうよって?」


なにかを知ってそうな塁くんにドキドキしながら首を傾げる。


「ヒロキ、いいと思わね?」

「え、ああ、うん……?」

「兼元だから言うけど、俺たち、クラスの男子は女子に内緒でこっそりグループLINE作ってんのな。で、そのグループLINEにヒロキから『皆に話があるから聞いてほしい』ってLINEきて。いつぞやの放課後教室に集められたワケよ。そこでさ、『兼元がすきだから皆に協力してほしい!』って。兼元を好きになったエピソードを俺たち、小一時間くらい聞かされたわ」


「ケッケッケ」と楽しそうに思い出し笑いをする鳩田くん。その光景を思い浮かべるとものすごく恥ずかしくなった。


「クラスのモテ男子が『好きな子できたから協力して』って頭下げてんの面白くね? だから俺たち男子は女子に内緒でヒロキを応援することにしたワケ。本音言えば、兼元以外の女子なら俺たち好きになっても希望あるわけだから、そりゃあ応援するしなー!」