「ゲリラ豪雨だから落ち着くまでおいで」
愛菜の手を繋いで歩く。
もうここまで濡れたし走って転げるのも嫌だ。
愛菜は手を繋いだまま何も言わず付いてきてくれた。
理久斗の部活のタオルを愛菜の胸を隠し前からリュックの肩紐に挟む。
「ダサくない(笑)?」
愛菜はそう言ったが「だめ、くっきり見えるから我慢して」と言われた。
「ふふふっ」
愛菜はおかしくなって笑ってしまった。
肩からかけてもスポーツタオルで長いから隠れるのにと愛菜は思った。
理久斗くんのやる事って優しいんだけど、どこかちょっぴり変なのよね。
さっきまで落ち込んでた気持ちが少し軽くなった。
「理久斗?」
愛菜が声の方を振り向くと1人の女の人が制服で立っていた。
愛菜が止まると理久斗も振り向いた。
うちの制服じゃない……M女子高かな?
制服が可愛いと有名な私立の女子校だ……
「咲優(さゆ)?」
傘をさしていて少し顔が見えづらかった。
「傘入る?」
「いや3人は無理だろ、もう家近いし、いいよ、ありがとう、じゃあ……」
理久斗はそのまま愛菜を引っ張って歩き出した。
「ありがとうございます、すみません」
愛菜はそう言うとペコリと頭を下げながら理久斗に引っ張られていく。



