「違うよ、理久斗くん」
愛菜は理久斗の手を両手で持った。
「お互い様でしょ、理久斗くんの手が冷たかったら私が温める」
えっ?
理久斗はびっくりした。
「……愛菜……ち、ちょっと待って涙が……出そう」
繋いでいない方の手で目頭を押さえている。
鼻をすする音がする。
「どうして泣くの?」
「……嬉しくて……ぐすっ、ちょっと不安だったんだ、長い時間他の男子もいる訳だし、僕の事忘れられてたらと一瞬頭によぎったり、愛菜の事を信じてない訳じゃないんだけど」
「忙しかったのは本当にごめん、設計ミスで作り直したりしてたからいっぱいいっぱいだった。理久斗くんが怒っても仕方ないと思う」
「そんな、部活休んで一生懸命やってる人に怒らないよ」
理久斗は愛菜を抱きしめた。
「愛菜、文化祭終わったらデートしよ」
「うん」
「もうちょっと充電させて」
理久斗は背中から愛菜の頭の後ろに手を添えた。
ん?いつものハグと違う?と愛菜は思ったが頭をなでなでされて理久斗くんはありがとうと言って離れた。
明日早いから帰ろうと理久斗くんは立ち上がった。
次の日いよいよ文化祭の始まりだ。
卓球場に迷路を作った愛菜と凛華のクラスは大忙しだった。
当番が決まっていたのに、列の整理をしなくちゃいけなくて、一緒に回ろうと約束していた理久斗くんに休憩の時間がわからなくなったとLINEをした。
昼頃に理久斗くんがおにぎりとパンを何個か差し入れをしてくれた。
凛華とお礼を言った。



