「……大丈夫?」


え、この声は……。


私が顔を上げると、目の前で手を差し伸べてくれていたのは新だった。


「あら、た」

「俺につかまって」


新が私の手を取り、立ち上がらせてくれた。


「あ、ありがとう」

「おー。怪我とかないか?」

「う、うん」


まさか、新が助けに来てくれるなんて。


「良かった……それじゃ」


わずかに微笑むと、新はファンの女の子たちのほうへと行ってしまった。


新はファンの子たちにあっという間に囲まれ、姿が見えなくなってしまう。


もしかして自分の周りに集まっていたファンの子たちを置いて、わざわざこっちに来てくれたのかな?


ていうか、新に笑いかけてもらったのは久しぶりかもしれない。


私は、新に握られた手を見つめる。


久しぶりに繋いだ新の手は、知らない間に私よりもうんと大きくなっていて。

そして何より、すごく温かかった。