「なあ、エリイに一つ言ってないことがあるんだ」
「――なに?」
「俺、人の心の声が聞こえるんだ」
何かを伝えたい思いが込み上げてきたけど、それをじっと我慢して、私はカノウのその信じられない話をしっかり聞き続けることにした。
「――だけど、エリイの気持ちは読めない。だから、イーブンで一緒にいれると思ったし、大切にできると思ったんだ」
カノウはまたいつものように優しく微笑んでくれた。
私は右手に持っているプラスチックカップを危うく落としそうになった。右手に力を入れた所為で、汗をかいたカップの水滴が垂れ、それが人差し指を伝った。



