「ねえ。さっきから、あんたって言うけど、やめてよ。その言い方。エリイって呼んで。腹立つから」
「――いいよ。そう言うことははっきりと言うんだ。意外。――私たち、もしかしたら気が合うのかもね」とマリはそう言ったあと、カフェラテを一口飲んだ。
もし、マリが私の友達だったらどうなってたんだろうって、一瞬、考えてみたけど、結局、マリの本性を勝手に知って、また無駄な心の傷を負うだけの結果になると考えると、嫌になった。
「ねえ、カノウがエリイのこと好きになる理由、なんとなくわかるよ。私」
「どういうこと?」
「地味なふりしてるけどさ、エリイってかわいいもん。なのに誰とも関わらないし、無口だから、周りから見ててすごい腹が立つんだよ。――そこがカノウから見たら、魅力的なのかもね」とマリはそう言ったあと、バッグからスマホを取り出した。スマホケースは派手にデコられていて、趣味が合わないと思った。そして、テーブルにスマホを置き、右手の人差し指で、何かを操作し始めた。
きっと、友達にはなれないよ、マリとは。
「私、この動画撮ってたでしょ」とマリはスマホの画面を私に見せ、そう言った。



