「――誰でもそうだと思うよ。多かれ少なかれ」
「カノウが思っているよりも酷いと思うよ。私の人間不信」
「そしたら、お互い様だな」
「いや、意味わからないし。だってイーブンなんでしょ」
「そうだけどさ、基本的には信じてないっていうか、信じられないよ。人のことなんて。ほとんどのやつは言ってることと心のなかで思っていること違うしさ。――そして、こういうことも起きるし、完全に疑わないのはちょっと違うかなって思う」
「――へえ」と私は言ったあと、コーラを一口飲んだ。カノウは口ではそう言っているけど、人のことなんて本当の意味でわかっていないよ。
「なんだよ、気の抜けた返事だな。自分から聞いておいてさ」
そう言われたから、カノウをもう一度、見ると少しいじけた表情をしていた。カノウのパーマがかかった前髪が風で弱く揺れていた。



