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結局、カノウは学校に来なかった。
だから、今日起きたことは知らないはずだ。朝の出来事以外、ごく普通の一日だった。いつも通り、電車で帰っている。電車はいつもの大きな橋を轟音を立てて通過している。ドアに寄りかかった身体に振動が伝わる。
「守るって言ったくせに」とぼそっと、誰にも聞こえないくらいの声で言ってみたけど、心の中は何もすっきりしなかった。
別にお気に入りのクリーム色のコンバースが無くなったわけでもなく、教科書がビリビリに破られることもなく、LINEグループでハブられることもなく、1日が終わった。
そもそもクラスのLINEグループすら知らない。もしかすると、入ってなくてよかったのかもしれない。仮にグループに入っていたら、めちゃくちゃに言葉の機関銃を浴びせられていたかもしれない。



