いつも側にいてくれたね



バスが出発すると、私はバッグの中から直生へのプレゼントを取り出して、潰れてしまったその箱を見た。

「それ、彼氏へのプレゼントなの? 潰れちゃってるけど中身が何ともないといいね」

バスの隣の席に座った永井くんがそう言いながら私から箱を取ると、潰れた部分を直そうとしてくれた。

「永井くん、ありがとう。もう箱はいいの。中身が壊れていなければいいんだけど」

「そっか。高田さんに想われてる彼氏が羨ましいな。こんなに好きになってもらえてさ」

「ち、違うよ。これは彼へのプレゼントじゃないの。彼じゃないけど・・・大好きな人にあげたかったの」

「彼氏じゃないけど大好きな人って?」

永井くんは私の言っていることが理解できなかったようで、箱を直している手を止めて私の顔を覗き込んだ。

「高田さんが言うそれってさ、もしかして1組の湯川のこと?」

「う、うん。良く分かったね」

「そっかー、俺は湯川兄弟に勝たないと高田さんの側にはいられないのかー」

今度は私が永井くんの言った言葉が理解できなくて、永井くんの顔を見た。

「俺ね、今日高田さんのこと好きになった。さっき一人ぼっちで木の陰から出てきたでしょ」

「えっ? 永井、くん?」

私は永井くんからの突然の告白にびっくりして永井くんから目が離せなかった。

「そんなに見つめないでよ。恥ずかしいだろ」

「あっ、ごめん」

「あの時の高田さんは凄い怪我してるのに無理に笑顔作ってるし。何があったかは聞かないけどさ。俺が守らなきゃって勝手に思っちゃってさ」

「永井くん・・・」

「それにね、俺の着てたそのパーカー、高田さんにはぶかぶかなのめちゃかわいいなって」

そんなこと言われたらこのパーカー着てるわけにはいかないよ。

私は急いで永井くんのパーカーを脱ごうとしたんだけど。

「待って待って。高田さんの服はボロボロなんだから、せめてホテルの部屋に入るまではそれ着ててよ」

「で、でも・・・」

「ごめん。俺、変な妄想した。さっきの全部忘れて」

そう言うと永井くんは私とは反対側を向いてしまった。

永井くんに告白されたのかと思ってびっくりした。

永井くんの妄想で良かったよ。

それでも永井くんには感謝してるよ。

助けてくれて、こうして一緒にいてくれて。

「ありがとう、永井くん」

私は永井くんにしか聞こえないような小さな声で永井くんに感謝した。