いつも側にいてくれたね



痛ったーい。

目を開けた時、目の前にアスファルトがあって何が起こったのか把握するまでに時間が掛かった。

「お姉さん、大丈夫?」

「血だらけだけど、救急車も呼んだ方がいいのかな」

私の周りに集まった人たちが心配そうに倒れた私を覗き込んでいた。

私はアスファルトに打ち付けられた体を無理やり起こして、

「私は大丈夫です。ご迷惑をおかけしました。」

腕はとても痛いけど立って歩くことができたから、ここから早く逃げたくて、人気のない所まで歩いた。

駐車場から少し離れた所まで歩き、集まっていた人たちから見えなくなるように大きな木の陰に座り、痛みのある腕をそっと触ってみる。

「痛っ」

痛みのある左腕は力が入らなくて、そっと触っただけでも痛い。

それでも取られそうになったトートバッグを力の出ない左手がしっかり握っていて。

バッグの中を確認すると、直生へのプレゼントに買ったガラス細工の箱が潰れてしまっていた。

「中のブレスレット壊れていないかな。大丈夫かな・・・ふっ ふぇっ」

悔しさと恐怖と痛みと、色々な感情が急に襲ってきて涙が出てきた。

ここに遥生はいない。

頼れるのは直生だけ。

助けて、直生。

怖いよ、直生。

痛いよ、直生。

スマホを取り出して、直生の番号を表示させた。

その番号は涙で歪んでいて。

通話ボタンがどうしても押せない。

直生を頼ってしまうのはだめだよ。

きっと直生は心配して急いで来てくれる。

そんなの直生に迷惑を掛けてしまう。

私は表示させたまま押せないでいる直生の番号を見つめていた。