いつも側にいてくれたね



もしも。

そんなことは絶対に無いと思うけど。

もしも直生が私に好意を持っていてくれているのだとしたら。

直生はいつも優しいから、私は直生に甘えて、わがまま言って、直生の好意を振り回していたってことになるよね。

直生、ごめんなさい。

綾乃、ごめんなさい。

私、今までずっとダメだったね。

「永井くん、どうしよう。綾乃に謝らなきゃ。ずっと綾乃を傷つけていたなんて。私、綾乃を探してくる」

ホテルのロビーを出て、綾乃が走って行った方へ行こうとしたら、通りの先からホテルへ戻って来る綾乃と中島くんが見えた。

「綾乃―」

と叫んで走って行こうとしたんだけど、戻って来る2人は手を繋いでいて。

「ねぇ、永井くん、あれ・・・って」

隣にいた永井くんも2人を見て驚いたようだった。

「おお、中島やったな! あいつ、綾乃と上手くいったんだ」

綾乃と中島くんが私たちの前まで来ると、

「綾乃、ごめんなさい」

「夏芽、ごめんなさい」

私と綾乃の言葉が被って。

綾乃は少し照れたように中島くんと目を合わせていた。

「あのね、綾乃。さっき直生について冷たく言ってしまったけど、違うの。ただの幼馴染とか、そんな簡単な気持ちじゃなくてね」

「分かってる。それでも直生のことを考えるとなんだか苦しくなっちゃって。逃げちゃってごめん」

綾乃は何も悪くないのに私に謝った。

そんな私たちのやり取りを聞いていた永井くんが、「もうこの話は終わり」と言って話題を変えてくれた。

「なあ、中島と綾乃はなんで手つないでんだよ?」

「あっ、それ私も聞きたい」

私も永井くんの話題に賛同した。

すると中島くんが

「俺、このどさくさに紛れて綾乃に告った」

「うんうん。それで?」

私と永井くんが同時に頷く。

「まずは友達から・・・」

今度は綾乃が恥ずかしそうにうつむいて答えて、頬を赤くしていた。

「今までだって友達だったのに今更また友達からって、ありえねーだろ。じゃあ、なんで友達が手繋いでんだよ」

永井くんの鋭い突っ込みが入ると綾乃は観念したのか、

「さっき中島くんにはお友達からって言ったけど。つっ、付き合ってもいいよ」

綾乃がそう言った瞬間に中島くんが飛び上がって体全体で喜びを爆発させた。

「うおおおおっ! マジで? 綾乃。ホントにいいの? 嘘じゃないよな」

綾乃は小さく頷いて中島くんに

「よろしくお願いします」

1組のカップル成立の瞬間に立ち会えて、それが綾乃だから私はとても幸せな気持ちになった。

幸せな気持ちとは反対に1つだけ心に引っ掛かっているのは、直生のこと。

これから直生に対してどう接するのが正解なんだろう。

考えても答えは出なかった。